2011/12/01

雑誌「エココロ/野生の食卓」が勉強になる。

未だに雑誌が好きです。装丁、レイアウト、デザイン、フォントや写真など、綺麗な雑誌は開いた瞬間に心地よく、作り手の創造性や心意気を感じます。もちろん、コンテンツの充実度が大切であることは言う迄もありませんが、とても読み応えがあった一冊です。
(書評ではありません。)


http://ecocolo.com/

以前のエントリーでお伝えしたとおり、NPO団体のSinging Angelが運営するサラデコ食堂(南町田)が12月にオープンします。
「未来のこども」、「地域」、「地産地消」を大事にし、「安全な食を届けること」をテーマにしたプロジェクトです。(僕はここで開催予定のマルシェの監修・制作で参加し、相方はサラデコ食堂のシェフとして参加します。)こういうタイミング時にはこういう雑誌が目に入ってくるんですね。
とても興味深い記事がたくさんありました。

野生の食卓
かつての人々にとって、”食べる”ことは、自然(=神)とつながる行為でした。
動物、植物、同胞である命をいただくということに、
とまどいや切なさを抱いていたからこそ、その行為は神聖なものであったかもしれません。
土、水、太陽、あたり前にあるエレメントが、命をはぐくむということ。
その命がどこで、どんなふうに生まれ、はぐくまれてきたのかということ。
となりの友人が、自分が、育てたものなら、もっと最高の味わいがする。
そうして一歩一歩、”いのち”の原風景に近づいていけば、自ずと見えてくることがある。
それが、野生の食卓。(本文より抜粋)

非常に西洋的というか自然神的な文章です。
これをなんと「シンデレラ」に例えて「本来あるべき食卓」の姿を問題提議しています。
シンデレラとは「灰かぶり娘」を意味する、というのです。灰=竃(かまど)。竃は火を指します。人類は火を使う事で他の動物と差別化され、進化してきました。以降「火」は変化や転換の象徴としてとらえられたのです。
この童話は1万年前の最古の神話に端を発しており、人間と自然の結びつき=野生の記憶を表現した物語だった、と。神話的世界と哲学で「現代の食卓」を考えるという発想。本当の「シンデレラ」を知ることができました。

もうひとつ、おもしろい記事が。

食の道筋をクリアに— カリフォルニアで生まれた「OPEN」プロジェクト
サンフランシスコのバークレーにあるレストラン「シェ・パニース」全米で最も注目を集めているこの小さなレストランが、アメリカの”食”に対する考え方を変えつつある。
(※リンクは音が出ます。)

「OPEN」とは?
オーガニックファームや漁師から直接食材を仕入れ、その日に最も旬なものを料理するために、決まったメニューを存在させず、生産者からお客さんに届くまでの全てを「公開」させます。つまり生産者の「顔」を見せるのです。
野菜を工場ではなく、土で栽培することから「土壌の問題」に関心をもってもらえるような工夫をしたり、「OPENsoil」というイベントでは土が付いたままの野菜を食べたり、魚料理では水質汚染や水不足問題、生態系についての説明もメニューに書いてあるそうです。

食に関する子供向けのワークショップでは、ピクルスを作ったり、自転車を改造した脱穀機で脱穀に挑戦したり、蜂の巣を見ながらミツバチの役割を考え、なぜ焼きたてのトウモロコシがおいしいのかを皆で勉強する。食べることの大切さ、根幹を知る。素晴らしいアプローチですね。


オープン・ハーベストとは
1971年にアリス・ウォーターズが、カリフォルニア・バークレーに開いたオーガニックレストラン「シェパニース」は、サンフランシスコ周辺で、農家や酪農家、漁業家などとの関係を深め、どこで、どのようにして私たちの食べ物は育てられ、どの季節に食べることが最も熟して美味しいのかということをアメリカの人たちにより深く考えさせるムーブメントを引き起こしました。また、小規模な生産者に対して、工業化された農業とは別の選択肢を与えました。食に対する透明性、命にかかわる畑と食卓のつながり、これらの着想がOPENの基本です。このシェパニースを中心としたシェフ達から生まれた食とアートのプロジェクト “OPEN”が初めて 日本にやってきます。名付けて“OPENharvest”。オーガナイズは、私たちFoodlight projectとアメリカのOPENの面々です。これまで西海岸を中心にアメリカ国内で開催されたOPENは、”  “、そして未来をテーマに開かれました。(サイトより抜粋)



「食べれれば何でもいい。」という考えではなく、本来「食」は楽しむものです。そしてその食材・食物のコンテクスト(文脈)を知る事でもっと「おいしく食べる」ことができるんだと思います。たしかに食事を楽しむことができる人と食事をするとおいしい。こんな気持ちになる人は多いのではないでしょうか。
Vege&Fork Market では生産者から作物の説明、育て方の話しを聞く事が出来ました。本当に愛情を持って作ってらっしゃいます。それ自体がためになることですが、食べたときの味が例えばスーパーで買ったものとは全然違う。コンテクスト知ることは大切な事だと痛感します。

アメリカを美化するわけではありませんが、先進的な取り組みをしていることは事実です。ロンドンやフランスを始め欧州でも「オーガニック」が主流となっています。他にも世界中で食に対する新たなアプローチが生まれているんだと思います。逆説的ですが「オーガニック/organic」とは「有機」以外にも「元来の/生まれたままの/生命の」を意味します。(フランス語やスペイン語では「ビオ/bio」と言います。)つまりこのような取り組みやアプローチは原点回帰的思考と言えます。

南町田の「サラデコ食堂」や「サラデコマルシェ」を始めとするプロジェクトや、これからのVege&Fork Market 他あらゆる場面で考えていく必要がある重要なテーマですね。
専門家や情報通の方からもいろいろと話しを聞いてみたいです。非常に興味深い分野です。