2012/10/18

ap bank fes '12 のドキュメントに学ぶ。


NHKで放送されていた『ap bank fes '12 Fund for Japan』のドキュメンタリーを観る機会がありました。NHKのドキュメンタリーは落ち着きがあっていいですね。

「環境問題やサステナブル、いわゆる持続可能な社会づくりをテーマに掲げるイベントです。」というナレーションから番組はスタート。ap bank fesはご存知、櫻井和寿さん(Mr.Children)と小林武史さん(音楽プロデューサー)が中心となって2005年に始まった夏フェスです。

 ap bank Fund for Japan みんなで生きる。みんなが活きる。 

8年目となる今年から規模を拡大、静岡県•つま恋、兵庫県•淡路島、宮城県•川崎町の3会場で開催されました。来場者は述べ17万人。去年からは震災復興が大きな目的となり、イベントの収益は全て復興支援に充てられています。活動費や制作費以外は全部ということでしょう。凄いことですよね。

7月14日、静岡県掛川市。つま恋会場にてap bank fes初日。2.8万人の来場。満員です。

                      (Pic:リンク元 MUSIC LOUNGE

●ap bank という非営利組織
2003年に環境に関わる事業やサステナブルな活動に対して融資を行う組織です。自然エネルギーの推進、農薬に頼らない農業など90件以上。小さな団体から企業へと融資を行っているそうです。
ap bankは、自然エネルギーや環境プロジェクトなどへの融資を行う非営利バンクとして2003年に設立されました。ap bankは、市民やNPO団体、法人による、自然エネルギーへの取り組みや環境保全など、新しい未来作りのためのアイデアや活動、プロジェクトに対し、「融資」という方法で支援してきました。現在までに、90件3億717万4641円の融資を行っています。(ap bankオフィシャルホームページより。)
イベントのコンセプトに賛同するアーティストが現れるようになって、その境を外して考えて行ったら「ap bank」から「ap bank fes」になったと小林武史さんは語ります。思いや思想が広がっていくんですね。

そしてアーティストのつながりは海外へも広がっていきます。「I'm Yours」のヒットで知られるジェイソン•ムラーズ。音楽活動と並行してカリフォルニアで有機農園を経営。フェスのコンセプトに賛同し出演。     …おおぉ!カリフォルニアー!


この曲は海に行く道中で聴きますねぇ。ジェイソン•ムラーズのような人が「地球の恵みに感謝する」みたいなことを言っても全く嫌味に聞こえないんですよね。カリフォルニアの青空みたいな人です。でなきゃI'm Yoursのような曲は書けないでしょう。ジャック•ジョンソンなどと同様に僕の中でのオーガニックミュージック系アーティスト。時代に決して流されない、ナチュラルスタイルなミュージシャンたち。

耕す 木更津農場
ap bankが中心となって設立した農場が「耕す 木更津農場」です。敷地面積は30ヘクタール(東京ドーム約6個分!)。8名のスタッフが有機農業を実践、ap bankの飲食ブースに提供されています。http://www.tagayasu.co.jp/index.php

(Pic:リンク元 greenz.jp

環境に配慮した運営
木更津農場で使用するトラクターはバイオディーゼル燃料を使用。飲食店から使用済みの油を引き取り、濾過させます。植物由来の油から作られた代替燃料で、ガソリンや軽油よりも二酸化炭素の排出量は少ないと言われています。さらに園内に太陽光パネルを設置。自然エネルギーを取り入れた農業を運営しています。

そういえば僕のある友人も脱サラして田舎農園暮らしを一昨年からはじめています。(しかも木更津。)それと何とバイオディーゼル燃料の車に乗っています。意識が高い人が多い地域ですね。




さて、楽しみな食のコーナー、フードエリアです。(Vege&Forkでもお世話になっている店舗さんも今年出展してきたようです。さすがに相当忙しかったみたいですよ!)

●Food Relation Network http://www.fr-network.jp/
「食べ物を生産する人、調理する人、食べる人」をつなぎ、命のつながりや食の安全性への意識を高めるプロジェクトです。食に関して立場が違う人同士、普段会うことがない人同士が一同に出会える場です。何気ない会話がうれしくて、お客さんも出展者も楽しい時間であるのはどこのイベントも一緒ですよね。


●eco-reso talk http://fes.apbank.jp/contents/talk.php
「食」「環境」「エネルギー」「復興支援」など様々な問題について語り合うトークショー。 各界の著名人たちが様々なトークを繰り広げています。有名シェフたちのトークショー詳細はこちらから。


来場者にたくさんの気付きを与える場
「太陽光発電によるミストシャワー」、フードエリアやキャンプエリアの発電は全て「バイオディーゼル発電機」。ゴミの分別を行い、リサイクルできる資源の量を掲示した「エコステーション」。マイ箸、マイ食器を持参する人は年々増えています。「apが始まった頃は2005年くらいで、まだエコエコ言ってなかった。そのきっかけを作ったのがapだと思う。」と来場者は言います。徹底的にやる切っていますね。凄い。。

太陽光発電によるミストシャワー
バイオディーゼル発電機
エコステーション

次は淡路島へ
8月4日、兵庫県淡路島。国営明石海峡公園。淡路島は17年前の阪神淡路大震災で壊滅的になりましたが、見事に復興しています。復興の象徴としてこの場所で開催を決めました。

トークショーでの特別なイス
この会場のトークショーではステージ上のあるイスが話題を呼びました。そのイスを作ったのは、岡山県西粟倉村、人口1,600人の小さな村に住むクリエイターです。この村はかつて林業が盛んでした。しかし諸外国の資源や安価な材木の輸入の波におされて衰退。何とかせねばと近年、村一丸となって「森の事業」を開始。木を活かすビジネスを立ち上げます。ベンチャー企業が村とタッグを組み、開発、流通に加え、新たな雇用も生み出します。高品質な木材を高い木工技術で製品開発。その中のひとつがこの村の檜で作ったイス。そしてapで使われるようになったのです。こんなイスです。素敵。http://youbi.me/spinchair/

ぼくらが旅に出る理由
なぜ、3カ所でフェスを開催したかというと、それは「復興支援のチカラになれることを願っているから」と櫻井さんはステージ上から語ります。「遠くにいる誰か、近くにいる誰か、自分以外の誰かの幸せを願ってこの曲をお届けしたいと思います!」と言ってBank Bandバージョンの『ぼくらが旅にでる理由』をプレイします。そう、小沢健二さんの曲ですね。
聴いたことある方も多いのでは。この曲です。

旅の最終目的地、東北へ
淡路島会場では地元の新聞社と共同である企画を立ち上げます。会場に置かれた木のオブジェ。それは復興地へのエールを送る「メッセージツリー」です。同じ痛みを乗り越えた人の祈り。たくさんのメッセージが集まっていました。このツリーは850km離れた陸奥会場へと届けられます。http://gallery.fes.apbank.jp/?p=806


宮城県柴田郡川崎町へ
8月18日、国営みちのく杜の湖畔公園へ。4万5,000人が来場。フェスには地元のお店がたくさん出展しています。東北コットンプロジェクトは津波による塩害によって米作りが出来なくなった農地を綿花を栽培してよみがえらせオリジナル製品を作り、大槌復興刺し子プロジェクトは被災した女性たちが手がけた手芸品を販売し、新たな雇用を生み出し、TEAM 南三陸は被災した若者を中心に結成。南三陸の食材を使った地産地消の食文化を提案しています。ap bankは震災後、いくつもの支援プロジェクトを立ち上げました。「歌の炊き出し」「贈る図書館」もそのひとつです。そして今もなお、活動は続いています。

僕が書いているものはごく一部に過ぎません。興味を持たれた方はぜひ、オフィシャルサイトをチェックしてみてください。



「持続可能な社会づくり」という大きなカテゴリーの中で仕事をしたい、しよう。
…と自分が思っているからこそ、この番組にも興味を持つのは当たり前でした。テレビでやったことをなぞっただけのエントリーですが、それを文字化することでアタマに刷り込まれていきます。そして誰かに伝えたくなりました。発信〜!

例えば本屋に行ってもその手の記事や本、特集があれば必ず目を通すようにしています。 Vege&Forkチームの一人が今年のap bankの飲食エリアで仕事をしてきました。その影響もあります。エコステーションについても見て感じて来てくれているので僕も色々と質問しています。

それにしても会場内のテント(店作り)や看板やTシャツ、何を見ても、ワクワクしますよね。什器やディスプレイもめちゃめちゃかっこいい。



ちょっと前の自分は「社会に良いこと」をしているアーティストやミュージシャンを見て、偽善者っぽいなぁとか売名行為だなぁとか思うことが多かった気がします。14歳からU2を聴いているのに何を学んでいたんでしょう(笑。
今は全くそうは思いません。というか、そんなことは全然関係ないし、どうでもいい。それよりも「じゃあ、自分は何をするの?」「自分はどうしたいと思っているの?」と考えるべきだからです。そして興味を持ったのなら、少しでも動きたくなったのなら、「GO!」です。

僕がVege&Fork Marketやその周辺の仕事をやり始めたのは過去の自分から次なる自分の働き場を創出したいと思ったからです。人をあてに出来なくなりつつある時代だからこそ。

今は全く儲からないし(汗、これだけでは到底やっていけません。しかしやり続けることでその先に仕事として繋がっていくことがあるのです。だから元気になります。そういう意味でも「持続可能」を考えさえてくれる番組であり、フェスでした。(行ってないけど。)番組内に「オーガニック」というワードは出てきませんでしたが、まさにオーガニックを感じます。

ちょっと話がスッ飛ぶのですが、ジェイソン•ムラーズなどを見ていても思うのですが、西海岸やヨーロッパをはじめ農業や暮らしにおいて、この”オーガニックな感じが根ざしてる感”は何なんでしょう。日本とは比較のしようがないくらい絶対的なスタイルとして確立されています。国が動いてるとかそういうことじゃなくて、ひとりひとりの感覚感性が受け入れてる感が違うような気がしてなりません。(もちろんメディアを通じてそこだけにフォーカスするからそういう風に見えたりするってのはあります。)

あたしベジタリアンなんだけどさ、とかわざわざ言う迄もなく、ハンバーガーショップにはベジタリアンメニューがあったりすると。(最近聞いた話です。これはまた別で書いてみたい内容です。)つまり、もう文化、当たり前として根ざしているんですね。

そんな社会づくりを目指した仕事がしたい、とここ数年思っています。いかにも儲からなそうな領域ですが魅力的です。

百聞は一見にしかず。体感と体験が一番。来年はap bank、行こうと思います。西海岸にも東海岸にもフランスにもオーストラリアにも行かねば、ですね。遠い国こそ、若いうちに!