これから流行らせようと思っている、コト、モノ、ヒトについて、もし仕事で関わるとしたら、「既に有名で確立されているもの」と「全く未知で内容もよくわからないもの」どちらを選択しますか? …なんて唐突ですが。
いきなり決めつけて(?)しまいますが、ほとんどの人は「出来上がったもの」が好きだと思います。なぜなら見えているものは安心で、周りの人も既に知っているので色々な意味で仕事がしやすいし、伝えやすい。そして何よりわかりやすい。
それに対して「これから出来上がるもの」「無名なもの」は不安だらけです。内容がわからない、どこに向かうのかわからない、仕事として成立=儲かるのかもわからない。見えていないものはとにかく人を不安にさせます。最初の一歩は大変。
何年も前ですが、ある無名バンドを売り込んでいるマネージャーに聞いた話です。そのバンドを有名にしたいと思っている。さてどうするか。「ツアーバンを一台用意して4人で全国ツアーに行かせる。年間のライヴ本数は250本。これがノルマ。」
びっくりです。ほぼ一年ライヴ漬け。250カ所と言えばほとんど日本中のライヴハウスに出ている計算です。
つまりこういうことです。ライヴハウスのマンスリー(スケジュール)を見ると必ずそのバンドが載っている。「人が知らない事」には何の評価も評判もない。良い悪いのもっと前に「まず知ってもらうこと」が重要。でなければ何も始まらない。逆に言うと「人が知っている」だけでセールスが変わってきます。好き嫌いはその後の話です。
その後、売れたら天国。ヒトもモノも、そしてカネもこっちに向いてくるわけです。
周りの人が「それを知っている」ということはそれぐらい凄いことです。
テレビドラマでも映画でもアニメでも今やほとんど全てと言っても過言ではないくらい「原作モノ」が中心です。オリジナル脚本発のものは多くない。原作がヒットしていることが最低条件です。つまりそこには既にファン(安定的にお金を出してくれる人)がいます。そうでなければリスクと考えるわけです。いかに原作ファンを裏切らないように作るかを重視する。就職活動でも転職でも名が通った会社はやはり人気です。「いかにリスクをなくすか。」が発想の起点。いいのか?悪いのか?仕方ないのか?
景気が悪くなると人は安心を求めるんですね。大手企業のリストラが相次ぎ、バタバタと会社がツブれて、元気がないと言われている今の日本経済。この記事は何か空しさを感じます。(どっちもどっちだと思うんですが。)
私はこうして退職を強要された/NECリストラ 面談一問一答メモ
様々な事情があったり、そんな簡単じゃねえんだよとかありつつ、結局は安心や安定を求めることは危険だ、と思っていて損は無いと思います。人や社会をあてにするからそうならなかったときに泣きを見る。自然の摂理として会社や組織にすがると逆に逃げられるんじゃないかと思ったりもします。追うと逃げる。まるで恋愛のようですね(笑。だって絶対なんてないでしょう?
さて。
有名なものや流行ったものは無数にありますし、今この瞬間にもたくさん生まれています。僕はそういうことを成し遂げている、つまり無から有を生み出した人にエキサイトメントや魅力を感じるようになってきています。更に言うと誰かの看板ではなく、自分の名前で成し遂げていく人。刺激を受けながらたっぷり嫉妬もしますw
自己実現欲求のみが自分を満たしてくれるものです。その中身は人それぞれでしょう。何をしたら自分は達成感を覚えるのか。この問いはとても重要だと考えています。
傷をなめ合ったり過剰に群れたりするのは苦手ですが、同じような志を持っている人には感化もされますし、支えられます。ふっと気が抜ける。でもお互いに無意識に馴れ合わないようにしていたり。最近、年齢が僕のひとつ下のイベントプロデューサー/演出家の方と知り合いました。もう10年以上、ひとり(フリー)でやっていると。大きなものから小さなものまで十分な実績があって大変刺激的でした。(もっと話を聞きたかったくらいです。)
無意識的にこっちの未知なる道へ行ってしまいます。これはもう、仕事上の価値観になっているし、刺激を受けられる環境に身を置くようにしています。なので冒頭の問いがあったら、断然「全く未知で、内容もよくわからないもの」を選びます。なかなかカタチにならないことが多いです(笑。今も新しい企画を提案しています。ここを自分の舞台にしようと決めています。軸を決めたらラク。でもカタチを作ってナンボ。そうでなければ無の世界。
究極的に言えば「自分が後悔しないように過ごしたい。」ただそれだけなんですけど。
この記事、痺れました。
ナースが聞いた「死ぬ前に語られる後悔」トップ5
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