2011/06/12

あざみ野で少しだけ勉強して来ました。

先週、食の安全を考える映画祭ってことで横浜市青葉区のあざみ野に行ってきました。新百合ケ丘からだと電車のアクセスがあまり良くないのでバイクで移動。なんと20分で到着。(バスが直行で新百合から出ていることを後で知る!)森ノオトや以前Vege&Fork Marketに出展してくれた方々も多くて再会を楽しみつつ、映画鑑賞と安田節子さんの講演へ。(講演とか久しぶり。)

テーマは「種の遺伝子組み換え問題」。映画「パーシー・シュマイザー モンサントとたたかう」を鑑賞。
バイオ化学メーカーの多国籍企業モンサント社のやり方に疑問を持ったカナダの農民パーシーさんの姿を追ったドキュメンタリー映画です。パーシーさんの菜種畑はある日、風で飛ばされてきたGM(遺伝子組み換え)種子によって汚染されてしまいました。畑がボロボロになり失意のパーシーさんですが、なんとGM種子を開発したモンサント社に特許侵害で訴えられてしまいます。なぜそんな?これはつまりGM種子を使わないと菜種畑をやってはいけないということを意味します。「自分の育てた種をどこぞの巨大企業に明け渡すなんておかしいし、そんなことはできない!」と抵抗します。そんなパーシーさんに対してモンサント社は外的圧力を行使しはじめます。抵抗する彼に(裁判所を使って)損害賠償金の支払いを命じたり、彼や家族の行動を監視しながら、精神的ダメージを与えるのです。徹底的に圧力をかけてきます。潰して服従させるのです。彼ら夫婦は圧力に負けじとふんばっていきます。そして結末は-。

巨大な権力に立ち向かうパーシーさんを通じて「種」の遺伝子組み換え問題を問いかけます。「パリ、テキサス」さながらのカントリー&ブルース調のBGMがたっぷりなドキュメンタリー。いや、たしかに考えさせられました。もちろん日本にも会社はあります。

日本モンサント株式会社 モンサント(ウィキペディア)

パーシーさんの目線で作られた映画なので徹底的にモンサント社が悪の帝王のように描かれています。実際そうなのかも知れませんが、今度はモンサント社の話しを聞いてみたかった気がします。合理主義の米国なので、実は効率が良かったり、全体が繁栄しうるビジネスモデルがあるのかも知れません。物理的側面だけで考えると「種の遺伝子を組み換えるなんておかしい!健康を害する!」という話だけになります。当然プライオリティは何なのか、が大事なわけですが。(これは僕の知識不足ってことです。)

例えばパンやさんのパンはなぜ時間が経ってもおいしいのでしょうか。あれは実は小麦の質です。一般に売られている小麦粉とは質が違います。これはやはりそのパンやさんネットワークに入ることで上質の小麦を手に入れられるわけです。鮨屋のネタも同様でしょう。この仲間に入らなければいい小麦(ネタ)あげないよっていう。これらを知っているか知らないかで商売に大きな影響が出るかも知れません。…話がそれました。

つまりこれは米国企業型戦略というか、ある種の垂直統合モデルですよね。ウチが開発した種(GM)使わないなら農業やらせないよ!っていう。完全に既得権を得るためのビジネスになっています。それを言ったらオイルとか水とか生活インフラに関わるもののはほとんど該当するわけですが。その延長には国家間の戦争があるんでしょう。そう考えるとある意味、米国のおそろしいやり方なのかも知れません。

またまた話しは脱線しますが、数ヶ月前に米国オバマ大統領のランチミーティングのニュースがネットに流れていました。そのメンツは華麗。今をときめく、Apple、Google、facebook、Twitter、Yahoo、Oracleなどの超IT企業のトップたち。Webの世界を支配しているということは、ある意味リアル世界を支配しています。これだけやられてると誰もかないません。こうやって世界中にアメリカンパワーを拡散させているのです。ランチミーティングの建前は「最先端企業のトップと意見交換したい。」とのことですが、本当の部分の「話合い、情報交換」が気になりますねぇ。いや、もちろんおいしいランチの時間だったはずです。支配されることを拒む中国がGoogleを撤退させた意味も頷けます。

モンサント社の狙いはGM菜種の拡散。「種」に特許をとり、農民たちに自由に作物を作らせないこと。GMを取り入れない農民を徹底的に潰そうとします。つまり巨大企業が農民を支配し、管理する。自社で作った作物(コーンや大豆や穀物)の種を全てモンサントに明け渡さなければならないようにされてしまっています。GMはターミネーター技術とも言われています。種子を「自殺」させ、1回しか発芽させない。発芽機構を破壊することで翌年にはまた種を買わなければいけない。これがモンサント社の半永久的マネタイズモデル。表向きは人口爆発や食料危機を救うという「プロバガンダ」を謳ってはいるものの、実際は種を支配し、種に特許をかけた「特許侵害ビジネス」が行われているのが現状です。

日本は大豆、コーン、なたねなど6割は輸入、つまり米国に依存しています。北米からのものはほぼ全て遺伝子組み換えが行われたものなので、多くの人はそれらを口にしています。長期的に見ると健康被害に関わってくる、と。そこには声を上げて「何とかGM 商品をやめさせなければいけない。」と唱え、運動する人たちがいるわけです。少しでもカラダに良いものを取り入れるための情報や知識、食材選びをするしかないよね、っていう話です。そしてこのような支配型ビジネスモデルが実在したままでいいのだろうか?という疑問。安田節子さんは「世論で変えていくしかない。」と力説します。

少しでも理想的な生活に近づくための工夫。つまり安全に、快適に、何より健康に生きていくためにどうしたらよいか。そのための情報入手は今後ますます必要になっていくでしょう。生きていれば何かしらのリスクは常に付いて回ります。極論を言えば本当にクリーンな生活をしたければソローの「森の生活」の世界でしょう。文明とおさらばというヤツです。タバコの副流煙や大気汚染、放射能問題、公害、食品添加物、三大疾病など同様にたくさんのリスクがあるでしょう。遺伝子組み換え食品もこの中のひとつです。僕は農家ではないのでそう言い切ってしまうのですが。。「死ぬ確率」で言えば交通事故の確率のほうがよっぽど高いとされています。
つまり日常のありとあらゆるものと共存して生活していかなければいけないので、それら全てと接しながら潜り抜けて(サバイバル)していかなければいけないのです。少しでもリスクを減らす努力を個人レベルでやっていく。情報は皆で共有する。それでしかないんじゃないかなぁなんて思います。

あーまたトッチラかしてしまいましたね。。

行ってよかったです。あざみ野はこのような問題意識を持って映画や講演会などの企画をこれからも打ち出していくようです。森ノオトのスタッフの方々や土を触り、農業を「楽しんで」いる方々もたくさんいます。今度は一躍有名になった映画「ミツバチの羽音と地球の回転」(監督トークショーあり。)も開催されるようです。オーガニックな街です。近いし、話をしていておもしろい方が多いので僕も今後も足を運んでいくつもりです。


今日の本題。それでは、DEMOCRASY NOW!よりパーシー・シュマイザーさんの動画です。


字幕付きはこちらになります。

玄菜美麺Vol.1の告知もしっかりPR。ローカリゼーション。何人かの方が秋のVege&Fork Market の出展を約束してくれましたよ。こちらもお楽しみに。